犬のしつけにおいて、叩くことは避けるべき行為です。
しつけの目的は犬に正しい行動を教えることで、恐怖や痛みを与えることではありません。
暴力を使って犬をしつけようとするのは「動物虐待」です。
動物行動学の視点から見ても、叩くしつけは効果がなく、むしろ犬の心と体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
犬を叩いてしつけることの問題点について詳しく見ていきましょう。
1. 動物行動学の観点から見た「叩くしつけ」の問題点
犬は人間とは異なる学習の仕組みを持っています。
動物行動学では、「正の強化」が最も効果的なしつけ方法とされています。
これは、犬が望ましい行動をとったときに報酬(おやつや褒め言葉)を与えることで、その行動を増やす方法です。
一方で、犬を叩くことは「正の罰」に該当します。これは犬にとって予測不可能な恐怖となり、以下のような問題を引き起こします。
飼い主への信頼を失う
犬は「何が悪かったのか」を正しく理解することができません。突然の痛みや恐怖を感じることで、飼い主に対する不信感を抱くようになります。恐怖心が攻撃行動につながる
犬は恐怖を感じると「逃げる」「固まる」「攻撃する」という行動をとります。叩かれることで学習されるのは「人間の手が怖い」ということだけであり、防衛本能から噛みつくなどの攻撃的な行動が増えることがあります。学習効率が低下する
叩かれた犬は、恐怖によってストレスホルモンが分泌され、学習能力が低下します。結果として、しつけの効果が薄れるどころか、問題行動がエスカレートする可能性があります。
2. 犬を叩くことは「虐待」にあたる
犬を叩くことは、単なるしつけではなく「虐待」に該当する場合があります。
特に、繰り返し叩く、強く叩く、怒鳴りながら叩くなどの行為は、犬にとって大きなストレスとなり、心理的・身体的なダメージを与えます。
近年、動物福祉の意識が高まり、多くの国や地域で動物虐待に対する法規制が強化されています。
3. 法律で裁かれる可能性がある
日本の動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)では、犬を不適切に扱うことは虐待とみなされ、罰則が科される可能性があります。
具体的な法律の規定
- 動物愛護法第44条:「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する」
- 同法第46条:「適切な飼養管理を怠り、動物を虐待した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」
犬を叩くことで法律に抵触する可能性もありますよ。
4. 叩くことで犬の体にダメージを与える
犬を叩くことは、単なる精神的なダメージだけでなく、身体的なダメージを引き起こす事もあります。例えば、
- 手や棒で叩くことで、骨や筋肉に損傷を与える
- 耳や顔を叩くことで、聴覚や視覚に影響を及ぼす
- 繰り返し叩かれることで、慢性的なストレスによる病気(皮膚炎、胃腸障害、免疫低下)を引き起こす
特に小型犬や子犬は体が弱いため、わずかな衝撃でも重大なケガにつながることがあります。
想像するだけでも怖くなってしまいますね。
5. 正しいしつけ方法を取り入れよう
犬のしつけには「叩く」以外に効果的な方法がたくさんあります。
その中でも、一番おすすめなのは「正の強化」で最も効果的です。
✅ 正の強化
- できたことを褒める(おやつ、ご褒美、おもちゃなど)
- 望ましい行動を強化し、問題行動を減らす
✅ 無視することで悪い行動を減らす
- 望ましくない行動をとった際に反応せず、行動の価値をなくす
✅ 環境を整える
- イタズラを防ぐために、犬が問題行動を起こしにくい環境を作る
✅ プロのドッグトレーナーに相談する
- 問題行動が改善しない場合は、専門家に相談するのも一つの手段
まとめ
犬を叩くことは、しつけとして適切ではないどころか、犬の心と体に深刻なダメージを与え、場合によっては法律違反となる可能性もあります。
動物行動学の観点からも、叩くことは犬の学習に悪影響を及ぼし、攻撃的な行動を引き起こすリスクがあります。
犬と信頼関係を築きながら、適切なしつけ方法を実践することが、愛犬にとっても飼い主にとっても幸せな関係を築く第一歩ですね♪